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線がうごめく。
動く。
これはあちらから来たものだ。
木の幹に赤と白の花が咲く。
面。
中心をほのおが囲む。
中心は見えない。
核のようなもの朧げに向こうに見える。
歌が聴こえるとしたら自分とは点で繋がるのみだろう。何を伝えることもなく、ただ聴こえている。
赤は火ではない。
白は薄情に行き来する誰にも聴こえないように。
木の幹はザラザラし老いて隙間には別の新しい芽がちらほら。
全体が語りかける。
包括しているようで部分が別個に現れる。
小さい声、大きい声。
四角に切断された世界。
息は切られている。
真空に呼吸する。
点が何なのかわからない。
線は線の意味から外れてきている。
温度を伴わず燃えている。
核は一つではないのかもしれない。
核は無限にあるのかもしれない。
存在も一つではないかもしれない。
画面上部に隙間空く。
前に出ず退いていく。
白線が区切る。
血が滲む。
髭。
髪の毛。
中央というものが希薄になった。
線に線を重ねる。
描く自分は獣のような心境で昂っていた。
教えられる。
自分の視点がずれる。
眼のように見えたら消す。
何かに見えたら崩す。
絵の自己再生能力、形体認識能力は高く、安易に生まれてしまう。
安易さに辟易し崩す。
赤が何かわからないが、赤が物語を呼んでくる。
黒も白も赤も白地もどこかから来たもの。
描く前から物語性を帯びている。
最初の一本の線。
自分はまだふやけている。
いつの間にか飲み込まれ、描く前に見えてしまう。
そのスピードを上げる。
瞬間に生きている。
判断ではなく飛びつく。
絵の中で描くにもいろいろあるようだ。
絵に描かされる振り回される。
修復してしまう。
壊そうとする。
壊す。
油絵の具はよく馴染み伸びる。
指で描く。
偶発的な線ができる。
偶発を身体化させる。
絵に指図される。
教え込まれる。
果たして自分に絵が見えているかは判断つかない。
小さくゾワっとする。
ただ見ている。
絵からも見られ挑まれているようで。
「お前にこの先が描けるか?今のお前に。」
見続けることで必死に離されないようにする。
見えているものと見えていないもの。
もっと先へ行きたい。
でも目標というのは手前に、後ろにあるのかもしれない。横かもしれない。
じっと見る。
悪く見えたり良く見えたりする。
知っているかたちと見知らぬかたちが混生している。
バランスをとるにしても段階があり、何のバランスをとっているかわからないもの。
もっと先へ行きたい。
揺れたい。
いろいろなかたちが見える。
物語が散在している。
次に行くべきか、この絵をもっと描いていくべきか判断がつかない。